「オルカンはS&P500より分散されているから暴落に強い?」——よく聞く話ですが、実際の下落幅の差は数%程度で、どちらも大きく下落します。3つの主要な暴落を実データで比較します。
なぜ下落幅が似るのか
オルカンの構成の約62%は米国株です。米国が下落する局面では、オルカンも必然的に大きく下落します。加えて、金融危機や世界的な景気後退では全世界の株式が同時に下落する「相関係数の上昇」が起きるため、分散効果は暴落時ほど薄れます。
重要な前提:以下の数値はUSD建ての参考値です。円建て(為替ヘッジなし)では為替変動の影響が加わります。円高局面ではさらに下落幅が拡大する可能性があります。
リーマンショック(2008〜2009)
📉 リーマンショック(2008年9月〜2009年3月)
回復期間:S&P500は約2013年に高値更新。オルカンも同等。米国の回復が早かった局面。
コロナショック(2020年3月)
📉 コロナショック(2020年2月〜3月)
回復期間:約5ヶ月という歴史的な速さで高値を更新。FRBの大規模金融緩和が支えた。オルカンは新興国の遅れで回復がやや遅かった。
2022年の下落(金利上昇局面)
📉 2022年下落(FRBの急激な利上げ)
金利上昇でグロース株が特に下落。オルカンの新興国が米国よりやや底堅い局面もあった。2023年には両者とも回復。
3大暴落まとめ比較表
| 暴落イベント | オルカン下落率 | S&P500下落率 |
|---|---|---|
| リーマンショック(2008-09) | 約 -52% | 約 -57% |
| コロナショック(2020年3月) | 約 -32% | 約 -34% |
| 2022年下落(金利上昇) | 約 -18% | 約 -20% |
| 差の傾向 | オルカンがやや小さい(差は2〜5%程度) | |
| 回復速度 | やや遅め(新興国の遅れ) | やや早め |
※USD建て参考値。実際の数値は計測方法・期間により異なります。
2025年 トランプ関税ショック
📉 トランプ関税ショック(2025年4月)
米国追加関税発動を受け急落。しかし関税一時凍結のニュースで急反発。短期間での乱高下が特徴。円建てでは為替が円高方向に動いたため下落幅がやや拡大した。
4大暴落まとめ(更新版)
| 暴落イベント | オルカン | S&P500 | 回復期間 |
|---|---|---|---|
| リーマンショック(2008-09) | 約 -52% | 約 -57% | 約4〜5年 |
| コロナショック(2020年3月) | 約 -32% | 約 -34% | 約5ヶ月 |
| 2022年下落(金利上昇) | 約 -18% | 約 -20% | 約1年 |
| トランプ関税ショック(2025年4月) | 約 -14% | 約 -15% | 数週間〜 |
| 傾向 | オルカンがやや小さい(差は1〜5%程度)。回復速度はS&P500がやや早い傾向 | ||
円建てで見ると:為替の影響
日本の投資家にとって重要なのが「円建て」でのリターンです。為替ヘッジなしのファンドは円高局面で追加の損失が生じます。
| シナリオ | USD建て下落 | 円高(例) | 円建て実質下落 |
|---|---|---|---|
| コロナショック(2020年3月) | -34% | 110円→107円(-3%) | 約 -37% |
| 2022年下落 | -20% | 150円→130円(-13%) | 約 -33% |
| トランプ関税(2025年4月) | -15% | 155円→142円(-8%) | 約 -23% |
※概算値。実際の数値とは異なります。
リスクオフ局面では円高になりやすく、円建てではUSD建てより下落が大きくなるケースが多いのが日本人投資家の特徴です。
暴落から学ぶこと
4つの暴落から見えることをまとめます。
- どちらも大きく下落する:オルカンが「分散しているから安全」とはいえない。リーマン級の危機では-50%超も起こりうる
- 下落幅の差は小さい:オルカンとS&P500の差は1〜5%程度。どちらを選んでも暴落時の体験はほぼ同じ
- 回復を待てるかが最重要:どちらも歴史的に長期では高値を更新してきた。暴落時に売らないことが最大のリスク管理
- 現金バッファーが暴落を乗り越える鍵:生活費2〜3年分の現金があれば、暴落中も売らずに保有し続けられる
結論:暴落耐性でオルカンとS&P500に大きな差はありません。どちらを選ぶかより、「暴落時に売らないための現金バッファーを持つこと」の方がはるかに重要です。
