3000万円という資産を「貯めること」から「使うこと」に切り替える——FIREの核心はここです。ただし「取り崩す」といっても、毎年4%以内に抑えながら投資を続けることで資産は増え続ける可能性があるのが4%ルールの本質です。
本記事では現金40%(1200万円)+ オルカン60%(1800万円)の構成で、月10万円を取り崩す具体的な方法をシミュレーションします。
4%ルールとは何か
4%ルールは米国のトリニティ大学の研究に基づく経験則で、「資産の4%以内を毎年取り崩せば、30年以上資産が枯渇しない可能性が高い」というものです。
| 資産総額 | 年4%の取り崩し額 | 月換算 |
|---|---|---|
| 2000万円 | 年80万円 | 月約6.7万円 |
| 3000万円 | 年120万円 | 月10万円 |
| 5000万円 | 年200万円 | 月約16.7万円 |
| 1億円 | 年400万円 | 月約33.3万円 |
3000万円の内訳:現金40%・オルカン60%
バケツ戦略:取り崩しの考え方
バケツ戦略とは、用途別に資産を分けて管理する方法です。
- バケツ1(現金):毎月10万円の生活費はここから出す。暴落時も同じ
- バケツ2(オルカン):触らない。暴落でも売らない。市場が回復するのを待つ
- 補充ルール:現金バケツが2年分(240万円)を切ったら、オルカンが高値圏のタイミングで補充
30年シミュレーション表
オルカンの年平均リターンを7%と仮定(楽観)と5%(中立)の2シナリオで計算します。毎月の取り崩しは現金バケツから行い、10年目にオルカンから現金バケツへ補充します。
| 経過年数 | 現金残高 | オルカン残高 (7%想定) |
合計 (7%) |
オルカン残高 (5%想定) |
合計 (5%) |
|---|---|---|---|---|---|
| スタート | 1,200万 | 1,800万 | 3,000万 | 1,800万 | 3,000万 |
| 5年後 | 600万 | 2,524万 | 3,124万 | 2,297万 | 2,897万 |
| 10年後(補充前) | 0万 | 3,541万 | 3,541万 | 2,933万 | 2,933万 |
| 10年後(補充後) | 1,200万* | 2,341万 | 3,541万 | 1,733万 | 2,933万 |
| 15年後 | 600万 | 3,284万 | 3,884万 | 2,213万 | 2,813万 |
| 20年後(補充) | 1,200万* | 3,244万 | 4,444万 | 2,182万 | 3,382万 |
| 25年後 | 600万 | 4,549万 | 5,149万 | 2,786万 | 3,386万 |
| 30年後 | 0万 | 6,380万 | 6,380万 | 3,554万 | 3,554万 |
※「*」はオルカンから1200万円を現金バケツに補充したタイミング。月10万円取り崩し(年120万)を継続。数値は概算。為替・税金は考慮外。
暴落シナリオ:-30%が来たら
仮に5年目に-30%の暴落が来た場合を考えます。
- 5年目(暴落前):現金600万、オルカン2,524万、合計3,124万
- 暴落直後(-30%):現金600万、オルカン1,767万、合計2,367万
- 対応:現金バケツからそのまま月10万円取り崩し継続。オルカンは売らない
- 3〜5年で回復:オルカンが回復し、合計3,000万円台に戻る
毎月の実際のフロー
- 毎月1日:現金口座から10万円を生活費用口座へ移す
- 年1回:現金残高を確認。2年分(240万)を切ったら補充計画を立てる
- 補充のタイミング:オルカンが高値圏(ATH付近)で売却→現金補充
- リバランス(任意):現金:オルカン = 40:60の比率が大きく崩れたら見直す
- 節税:新NISAの非課税枠はFIRE後も活用(現金で持つより有利)
よくある質問
月10万円は4%ルールの3000万円版です。生活費が月15万円なら4,500万円、月20万円なら6,000万円が目安です。FIREシミュレーターで「自分の必要生活費 × 25 = 必要資産額」を計算してください。また副業・配当・公的年金と組み合わせることで、必要資産を減らすことも可能です。
高金利の定期預金(年0.5〜1%)で運用することでインフレ対策になります。完全に遊ばせるのではなく、6ヶ月・1年定期に分散させ、使うタイミングで崩せるようにしておくと良いです。また現金比率は固定ではなく、60代以降に公的年金が入り始めたら株式比率を上げる(現金比率を下げる)調整も可能です。
4%ルールは米国株・米国債のデータに基づく研究です。日本円で生活する場合は為替リスクが加わります。円高局面ではオルカン(外貨建て)の円評価額が下がるため、より保守的に3〜3.5%ルールで考える選択肢もあります。また日本の公的年金(国民年金・厚生年金)を考慮すると、必要な取り崩し額を減らせるため有利になります。
はい。収入がなくても新NISAは続けられます(投資資金の出所は問われません)。現金バケツの一部を毎年120万円ずつNISA枠で運用することで、非課税の恩恵を受けながら現金とオルカンの配分を維持できます。FIRE後こそ税コスト削減が長期運用を助けます。
