株式投資を始めると必ず目にするPER・PBR・ROEなどの指標。これらは企業の「割安・割高」や「収益力」を数値で把握するためのツールです。ただし1つの指標だけで判断するのは危険であり、複数の指標を組み合わせて総合的に評価することが重要です。本記事では各指標の意味・計算式・目安・注意点をまとめて解説します。
PER(株価収益率)
例:株価1,000円、EPS 50円 → PER = 20倍
PERは「今の株価が1株当たり純利益の何倍か」を示す指標で、企業の利益に対して株価が高いか安いかを判断するために最も広く使われます。PERが低いほど割安、高いほど割高と解釈されます。
| PERの目安 | 解釈 | 注意点 |
|---|---|---|
| 〜15倍 | 割安水準 | 業績悪化の可能性を確認 |
| 15〜25倍 | 標準的な水準 | 市場平均的な評価 |
| 25〜40倍 | やや割高 | 高成長が期待されている |
| 40倍〜 | 高成長期待 | 成長が続かないと急落リスク |
PERの注意点
- 業種によって適正PERが異なる:成長株(テック系)は50倍以上が普通のことも。銀行・商社など成熟業種は10〜15倍が多い
- 赤字企業はPERを計算できない(分母がマイナスになる)
- 一時的な利益増(資産売却など)でEPSが膨らむとPERが低く見える「偽の割安」が生じる
- 将来の予想PERと実績PERの違いに注意(証券会社によって表示が異なる)
PBR(株価純資産倍率)
例:株価500円、BPS 400円 → PBR = 1.25倍
PBRは「株価が会社の純資産(帳簿上の価値)の何倍か」を示します。PBR1倍 = 株価と純資産が同じを意味し、理論上は1倍を下回ると「解散価値以下で買える」割安状態と言われます。
| PBR | 解釈 |
|---|---|
| 1倍未満 | 理論上の解散価値以下。割安だが業績不振の可能性も |
| 1〜2倍 | 標準的な評価。安定企業に多い |
| 2〜5倍 | 成長期待が高い。ブランド価値・無形資産が反映されている |
| 5倍〜 | 高い成長期待。テック・ブランド企業に多い |
PBRの注意点
- ROEが低いままPBR1倍未満が続く企業は「バリュートラップ」の可能性がある
- ソフトウェア・ブランド企業は無形資産(技術・特許)が多く、帳簿上の純資産が実力より低くなりがち
- 東証はPBR1倍割れ企業に改善要請を出しており、日本株ではPBR改善が株価上昇のテーマになっている
ROE(自己資本利益率)
例:純利益100億円、自己資本500億円 → ROE = 20%
ROEは「株主から預かったお金(自己資本)をどれだけ効率よく使って利益を出しているか」を示す指標です。ROEが高いほど株主にとって効率的な経営をしていると評価されます。
ROEの目安
- 10%以上:優秀な水準。バフェットの目安でもある
- 15%以上:高収益企業。FANG+・優良テック株に多い
- 5%未満:収益力が低い。業種によっては許容されることも
ROEの注意点
- 自社株買いや借入増加でもROEは上昇するため、「ROEが高い=実力が高い」とは限らない
- ROEが高くてもPBRが低い場合は市場の評価が低い(経営への信頼不足・株主還元不足など)
- ROE・PER・PBRの関係:PBR = ROE × PER(三者は連動している)
EPS(1株当たり純利益)
例:純利益1億円、発行済み株式200万株 → EPS = 50円
EPSは企業が1株に対してどれだけの利益を生み出したかを示します。EPSが毎年増加している企業は成長企業の証であり、株価上昇の原動力になります。
EPSの見方
- EPSの成長率(前年比)が高い企業は、株価上昇の可能性が高い
- 自社株買いを実施すると発行済み株式数が減るため、EPS が上昇(純利益が変わらなくても)
- PERはEPSをもとに計算されるため、EPS予想の変化がPERに直結する
配当利回り・配当性向
例:年間配当金50円、株価1,000円 → 配当利回り = 5.0%
配当利回りは「投資額に対してどれだけ配当を受け取れるか」を示します。高配当株投資やFIRE後の配当生活において重要な指標です。
配当性向も一緒に確認する
- 配当性向が30〜50%:健全な還元水準。増配余地がある
- 配当性向が80%以上:業績が悪化したときに減配リスクが高い
- 配当利回りが高くても、配当性向が100%超なら維持困難(タコ足配当)
PSR(株価売上高倍率)
例:時価総額1兆円、売上高2,000億円 → PSR = 5倍
PSRは赤字企業や利益がまだ小さいスタートアップ・高成長企業を評価するための指標です。PERが計算できない(赤字の)企業の割安・割高判断に使われます。
- SaaS・テック企業では売上成長率と組み合わせて判断する(成長率が高ければPSR高でも許容)
- PSR1倍未満は割安とされるが、赤字が続く企業は注意が必要
- 成熟企業より高成長企業の評価に向いている指標
PEGレシオ
例:PER 30倍、EPS成長率 30% → PEGレシオ = 1.0
PEGレシオはPERを成長率で割ることで「成長を加味した割安・割高」を判断する指標です。一般的にPEGレシオが1倍以下なら割安、2倍以上は割高とされます。
- PERが高くても成長率が高ければPEGは低くなり、「高PERでも割安」と判断できる
- バフェットの師匠グレアムも重視していた指標
- 成長率の予測が難しいため、予想が外れると評価が大きく変わる点に注意
指標の組み合わせ方・実践的な使い方
バリュー(割安)投資の視点
| チェック指標 | 目安 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| PER | 15倍以下 | 業績の安定性・一時的減益でないか |
| PBR | 1倍前後 | ROEと合わせてPBR改善余地を確認 |
| 配当利回り | 3%以上 | 配当性向が高すぎないか |
| ROE | 10%以上 | 自社株買いによる水増しでないか |
グロース(成長)投資の視点
| チェック指標 | 目安 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| EPS成長率 | 年20%以上 | 継続性があるか・一時的でないか |
| PEGレシオ | 1.0〜1.5倍 | 成長が予想通りに続くか |
| PSR | 業種・成長率次第 | 売上成長率と比較して判断 |
| ROE | 15%以上 | 高ROEを継続できているか |
まとめ:指標はあくまでヒント
- PER:利益に対する割安・割高判断。業種比較が重要
- PBR:純資産に対する評価。ROEと組み合わせて判断
- ROE:収益効率。10%以上が優秀な目安
- EPS:1株利益。成長率のトレンドが重要
- 配当利回り:インカム収益の指標。配当性向と合わせて確認
- PSR:赤字・高成長企業の評価に活用
- PEGレシオ:成長率を加味した割安判断。1倍以下が目安
ETF投資(S&P500・オルカン・高配当ETF)では個別指標よりもコスト・分散・長期保有が重要ですが、個別株を組み合わせてポートフォリオを作る場合にこれらの指標が役立ちます。FIREシミュレーターでポートフォリオを設定し、長期での資産推移を確認してみましょう。
