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投資基礎・上級 2026年7月掲載

ROA・自己資本比率・EV/EBITDAとは?
PER・PBR・ROEの次に見るべき上級指標を完全解説

2026年7月掲載 | 執筆:Kei(ITエンジニア・投資歴10年)

⚠️ 本記事は情報提供目的です。投資判断は自己責任でお願いします。

📋 目次
  1. 3つの指標の概要:何を見る指標か
  2. ROA(総資産利益率):資産全体の稼ぐ力
  3. 自己資本比率:倒産しにくさを測る
  4. EV/EBITDA:M&Aでも使われる企業価値指標
  5. おまけ:PSR(株価売上高倍率)
  6. ROEとROAの違い・組み合わせ方
  7. 業種別の目安一覧
  8. よくある質問

PER・PBR・ROEを理解したら、次に押さえたいのがROA・自己資本比率・EV/EBITDAの3指標だ。ROEだけを見ていると「借金を増やして見かけの利益率を上げている企業」を見抜けない。この記事ではその弱点を補う上級指標を、計算式・目安・実際の使い方まで解説する。

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3つの指標の概要:何を見る指標か

指標何がわかるかひとことで言うと
ROA総資産(借金含む)に対する利益効率「資産をどれだけ効率よく稼ぎに変えたか」
自己資本比率総資産に対する自己資本(返済不要のお金)の割合「倒産しにくさ・財務の安定度」
EV/EBITDA負債も含めた企業価値に対する本業の稼ぐ力「M&Aで使われる、会計方針に左右されにくい指標」
なぜROEだけでは不十分なのか
ROE(自己資本利益率)は「自己資本に対する利益」しか見ないため、借金(負債)を増やして自己資本を相対的に減らせば、実態以上にROEを高く見せることができる。ROAは総資産(負債+自己資本)全体で見るため、この「財務レバレッジのカラクリ」に惑わされにくい。

ROA(総資産利益率):資産全体の稼ぐ力

RETURN ON ASSETS
ROA
総資産利益率
ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

会社が持つ「全ての資産(借金で買った設備も含む)」を使って、どれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す。ROEと違い負債の影響を受けにくいため、企業の「本当の稼ぐ力」を測るのに向いている。

ROAの目安

ROA水準評価
10%以上非常に効率的(ITサービス・高収益ビジネスに多い)
5〜10%優良水準
2〜5%平均的(製造業などに多い)
2%未満資産効率が低い(設備投資型産業や不振企業)

製造業・不動産業など設備投資が重い業種はROAが低くなりやすく、ITサービス業のような「資産が軽い」業種はROAが高くなりやすい。異業種間で単純比較するのではなく、同業種内で比較するのが実践的だ。

自己資本比率:倒産しにくさを測る

EQUITY RATIO
自己資本比率
Equity Ratio
自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

総資産のうち、返済不要な「自己資本(株主資本)」がどれだけの割合を占めるかを示す。比率が高いほど借金への依存度が低く、不況・業績悪化に対する耐性が高いとされる。

自己資本比率の目安

自己資本比率評価
50%以上非常に安定・無借金経営に近い企業も多い
40〜50%健全水準
20〜40%業種による(銀行・不動産など標準的な水準)
20%未満財務レバレッジが高く、金利上昇局面でのリスクに注意
業種特性に注意
銀行・保険業は事業構造上、自己資本比率が低くなるのが一般的(預金・保険料など「他人資本」を活用するビジネスモデルのため)。不動産業もレバレッジを効かせた運用が一般的で比較的低め。業種平均との比較が欠かせない。

EV/EBITDA:M&Aでも使われる企業価値指標

ENTERPRISE VALUE MULTIPLE
EV/EBITDA
EVはEnterprise Value(企業価値)、EBITDAは利払い・税金・減価償却前利益
EV = 時価総額 + 有利子負債 − 現金
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

「株主から見た価値」しか測らないPERと違い、EVは負債も加味した「企業全体を丸ごと買うといくらか」という価値を表す。EBITDAは減価償却など会計方針の差の影響を除いた実質的な稼ぐ力。両者を組み合わせることで、負債の多寡や国・会計基準の違いを超えて企業を比較できる。

EV/EBITDAの目安

EV/EBITDA倍率評価
6倍以下割安水準
6〜10倍標準的な水準
10〜15倍成長期待を織り込んだ水準
15倍以上高成長株・将来の利益成長を強く期待した水準

M&A(企業買収)の実務では、買収対象企業の適正価格を判断する際にPERよりもEV/EBITDAが好んで使われる。負債を多く抱える企業とほぼ無借金の企業を、PERだけで単純比較すると実態を見誤るためだ。

おまけ:PSR(株価売上高倍率)

赤字段階のスタートアップ企業などPERが使えない(利益が出ていない)企業を評価する際に使われるのがPSR(Price to Sales Ratio)だ。

PSR(倍) = 時価総額 ÷ 売上高

一般的に10倍を超えると割高、1〜3倍程度なら割安〜標準的とされるが、成長率が高いIT企業では10倍を超えても正当化されるケースがある。あくまで補助的な指標として使うのが実践的だ。

ROEとROAの違い・組み合わせ方

組み合わせ判断できること
ROE高い + ROA高い本当に効率的に稼いでいる優良企業
ROE高い + ROA低い借金(財務レバレッジ)でROEを底上げしている可能性。財務リスクに注意
ROE低い + 自己資本比率高い財務は安定しているが、資本を効率的に使えていない可能性
「ROE高い・ROA低い」企業を見抜くには
この組み合わせが出た場合は自己資本比率を必ず確認しよう。自己資本比率が極端に低い(20%未満など)のにROEだけ高い企業は、借金を積み増して見かけの利益率を演出している可能性がある。金利上昇局面では財務リスクが顕在化しやすい。

業種別の目安一覧

業種ROA目安自己資本比率目安EV/EBITDA目安
ITサービス・ソフトウェア8〜15%50%以上10〜20倍
製造業(自動車・電機)2〜6%40〜60%5〜9倍
銀行・保険0.5〜1.5%5〜15%算出しにくい(業態上不向き)
不動産1〜4%20〜40%10〜15倍
小売・サービス4〜10%30〜50%6〜10倍
FIRE投資家向けの使い方
インデックス投資が資産形成の中心なら、これらの指標を毎回計算する必要はない。ただし個別株をサテライトとして組み込むなら、ROE単体で判断せず、自己資本比率とセットで「財務の裏付けがあるROEか」を確認する癖をつけると、財務が脆い企業を避けやすくなる。

よくある質問

Q. ROAの目安はいくつですか?

業種にもよりますが、5%以上あれば優良とされることが多いです。製造業など設備投資が重い業種はROAが低くなりやすく、逆にITサービス業など資産が軽い業種はROAが高くなりやすい傾向があります。同業種内で比較するのが実践的です。

Q. 自己資本比率は何パーセントあれば安全ですか?

一般的に40%以上あれば財務が健全とされ、50%を超えると非常に安定した企業と評価されます。ただし銀行・不動産など業種特性上、自己資本比率が低くなりやすい業種もあるため、業種平均との比較が必要です。

Q. EV/EBITDAとPERの違いは何ですか?

PERは株主から見た株価の割高・割安を測る指標ですが、EV/EBITDAは負債も含めた企業全体の価値(EV)を、利払い・税金・減価償却前利益(EBITDA)で割った指標です。負債の多寡や会計方針の違いに影響されにくいため、M&Aの際の企業価値評価や、国をまたいだ企業比較でよく使われます。

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